私たちの営農コンセプト

顔の見える販売、21世紀型の営農スタイル

従来の型にはまることのない、これからの時代に則した営農のあり方を模索しています。

  • 農協や市場を経由する多業者介入の流通の型
  • 農薬・化学肥料・化石燃料を大量に必要とする農法/技術における型
  • 食材はすべて農家がつくるという型
  • 百姓は生産だけに従事していれば良いという型

 

私たちは時代遅れになりつつある上記の型を見直し、以下のような方法で農業を最適化し、新しい営農のカタチを築きたいと考えています。

  • 田んぼの生き物トラストと呼ぶ田んぼのオーナー制度を提案します。
  • 野菜の直販サービスを直接配達や地方発送、各種マーケット(市)への参加や直売所の自力建設など多角的な視野から展開します。
  • 市民農園を開設し、たくさんの方々に農的暮らしを味わってもらえるよう計画します。

■ 風景と環境への試み

現在の地図(上) 旧海岸線を示す地図(下)
現在の地図(上) 旧海岸線を示す地図(下)

水のきれいな飯田川・和田妹川地区

私たちの住んでいる旧飯田川町・和田妹川(いもかわ)地区は、大堤と呼ばれる貯水池を有します。(この溜池は永徳年間(1381-1383)、羽立の市左衛門という豪族と石田の甚兵衛という者が築造したとされている。※飯田川町百年のあゆみ及び飯田川町史による。)この伝統的な治水技術の恩恵を受けて、天水をほぼ天然のままに利用でき、日本国内の多くの農村の類にもれることなく、先祖代々営みを続けてきた水田耕作地帯です。その昔、出羽式海岸線があったとされるこの地域の土壌は、地中深くにまで壌土層が見られ、排水はよく、有機質の分解もよい土壌区に分類され、おいしいお米が実ることで、昔から定評があります。しかし一方で、河口となる八郎潟残存湖では、近年、稲作にお

いての農薬・化学肥料の多投などを原因とする水質汚染問題が深刻になり、八郎湖周辺地域で、環境に対する取り組みが行なわれるようになってきました。

 

そうした水に恵まれた地域において、環境に負荷をかけない稲つくりを目指す事は、環境対策と地域振興の双方から一石二鳥の可能性があります。また、農業従事者の平均年齢は65歳超というこの地域の主たる産業である農業を立て直すために有効な手段と考えます。

 

飯田川地区詳細図
飯田川地区詳細図

 不耕起移植栽培による無農薬・無化学肥料の稲つくりへの挑戦

農業に従事して1年目の冬、出会ったのが岩澤信夫さんの「不耕起でよみがえる」という著書でした。その頃、偶然にもNHK教育の番組でも岩澤さんの特集が組まれており、すぐに電話しました。そして翌年、不耕起栽培普及会(岩澤さんが会長)の主宰する「自然耕塾」へ参加するため、千葉県香取郡神崎町まで高速バスでの往復を約1年続けました。

 

その1年の千葉通いの成果もあって、私たちの地域でも実践不可能ではない農法である事を学びました。この農法を簡単に説明すると

 

  1. 稲刈り後、米糠を田んぼに戻し、水を張る(秋起しはしない)。
  2. 冬の間、ずっと湛水条件を確保する。
  3. 春になって耕起はしない。
  4. 代掻きもしない。
  5. 5.5葉の成苗稲を育てて移植する。
  6. 農薬は使わない。
  7. 化学肥料も原則使用しない。
  8. 有機資材として問題も多い堆肥は使用しない

 

という、これまでの常識からは考える事の出来ない夢のような稲作です。

冬場の水の確保が最も難しい条件で、この農法を実行出来るか否かの鍵です。成苗をつくる技術は、古くから私たちの先人たちが、水苗代で蓄えてきた冷害に強いイネづくり技術に由来します。

 

 

■ なぜ、ファームガーデンたそがれなのか?

沈まぬ太陽の時代ではなく、明日の朝日を迎えに行く時代の到来
 

  • 10年間ふるさと秋田を離れ、わたしの心の原風景は日本海に沈む夕日にあると知りました。秋田県は古くから陸の孤島とも言われ、北は白神山系、東に奥羽山脈、南を鳥海山系と3方を険しい山々に囲まれ、コの時型に西へと開いた地理的条件を有しています。白神から鳥海に至るまで南北に走る海岸線のいずれの場所からも、海へと沈むおおきなお日様を見る事ができます。季節によって様々な色を織りなす海へと沈む太陽を、子どもの頃からずっと見てきました。はかなく、そして燃えるようなサンセットは、私たち人間と地球を結ぶ、確かな絆のように思えます。

 

  • 日々の農作業のなかには重々しい空気を感じる事もあります。そんな日のくれる頃、腰をあげた視界の中に広がるドラマティックなたそがれ時の情景。なぜか涙がこぼれてくるのです。

 

  • 私たちの過ごした青年期は経済的には失われた10年、失われた20年と言われます。たそがれ景気時代。右肩上がりの成長を目指した経済成長の視点で見ると、確かにそう見えます。しかし、物質が満たされて、人口推移も減少に転じた我が国において、これからも「沈まぬ太陽」の経済が求められているのでしょうか。それで本当に豊かになったと言えるのでしょうか?Time is Money「時は金なり」の、金融資本主義は、この後も持続可能なしくみなのでしょうか? 私たちは、そんな近代主義へのアンチテーゼとして「たそがれどきを楽しむ生き方」を提案します。

 

  • ファームは大規模な農場、アメりかやオーストラリアなどにある工場のような輸出を念頭に置いた大農場生産方式を意味します。私たちは、大規模経営を目指すのではなく、庭のように隅々にまで心の行き届いた、生きものの命も満ちあふれる美しい自給的な農園を目指しています。